文書作成日:2025/10/14
先日、厚生労働省から「令和6年 雇用動向調査結果の概要」が公開されました。この雇用動向調査は、全国の主要産業における入職者数・離職者数、入職者・離職者の性・年齢階級、離職理由等の状況を明らかにすることを目的に、上半期と下半期の年2回実施されているものです。今回の結果は、2024年に実施された2回の調査結果を合算し、年計として取りまとめたものです。以下では、この中から入職と離職の状況、転職入職者の賃金変動状況をとり上げます。
[1]入職と離職の状況
2024年における1年間の入職者数は約747.3万人、離職者数は約719.5万人となり、入職者が離職者を27.8万人上回りました。年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は14.8%(前年比1.6ポイント低下)、離職率は14.2%(前年比1.2ポイント低下)と、いずれも前年を下回っています。また、入職超過率は0.6ポイントとなっており、前年と比べると0.4ポイント縮小しています。
[2]転職入職者の賃金変動状況
このような状況の中で、転職入職者の賃金については、前職と比べて増加した割合が上昇しています。具体的には、2024年1年間の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金と比べ「増加」した割合は40.5%、「減少」した割合は29.4%、「変わらない」の割合は28.4%となっています。さらに、「増加」した割合の40.5%をみてみると、「1割以上の増加」が29.4%、「1割未満の増加」が11.2%となっています。
また、前年と比べると、「増加」した割合は3.3ポイント上昇し、「減少」した割合については3.0ポイント低下しています。過去10年間の転職入職者の賃金変動状況別割合の推移をみてみると、下図のようになっており、2019年から2021年にかけては前職より減少した割合が上昇した割合を上回っていましたが、2022年以降は逆転し、2024年は特にその差が顕著となりました。人手不足から、中途採用市場での賃金が上昇していることが分かります。
これまでの賃金制度は内部公平性(社内の従業員間のバランス)が重視されていましたが、これからは従業員の離職を防止する観点から、外部相当性(労働市場における適正な賃金支給)が重要となっていきます。自社の賃金が地域や同業他社に比べて極端に低いなど問題がないか、定期的にチェックしましょう。
厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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